藤澤皮膚科がおすすめするアトピー性皮膚炎におすすめの温泉とは?
[更新日]2024/08/28 28 -
アトピー性皮膚炎でお悩みの方へ。親御さんにとっても、お子様のあの痒みや赤み、本当に心配ですよね。
温泉の持つ自然のパワーで、肌トラブルを改善したいと思いませんか? 様々な泉質の中でも、アトピーに効果が期待できる温泉がいくつかあります。
今回は、アトピー性皮膚炎に良いとされる温泉の泉質についてご紹介します。
アトピー性皮膚炎に効果のある温泉の泉質
アトピー性皮膚炎でお悩みの方にとって、温泉は症状を緩和する可能性のある選択肢の一つです。これまで、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素泉、硫酸塩泉など、様々な泉質がアトピーに良いと言われています。これらの泉質は、保湿効果や殺菌効果といったそれぞれ特徴を持ち、肌のコンディションを整える働きが期待されます。
しかし、アトピーに効果的な温泉は、これらに留まりません。実は、独特の成分を含む「モール泉」も、アトピー性皮膚炎の改善に役立つ可能性を秘めている泉質の一つなのです。
モール泉は、泥炭地など特殊な環境で生成されるため、他の温泉にはない特徴的な成分を含んでいます。この独特の成分が、アトピーの症状にどのように働きかけるのか、詳しく見ていきましょう。
モール泉がアトピーに良い理由
アトピー性皮膚炎の症状緩和に効果が期待される温泉として、これまで塩化物ナトリウム泉がよく知られてきました。塩化物ナトリウム泉は、無色透明で刺激が少ないと言われます。また保湿効果や殺菌作用が高く、肌のバリア機能を強化する働きがあるため、アトピーの乾燥や炎症を鎮める効果が期待できるからです。
では、モール泉はなぜアトピーに良いのでしょうか?
実は、モール泉にも塩化物ナトリウム泉と共通する特徴があるのです。モール泉は、腐植酸という成分を豊富に含んでいます。この腐植酸は、肌の角質層に働きかけ、水分を保持する能力を高める効果があります。このため、塩化物ナトリウム泉と同様に、高い保湿効果が期待できます。
さらに、モール泉には、ミネラル成分も豊富に含まれています。これらのミネラルは、肌の新陳代謝を促進し、肌のバリア機能を強化する働きがあります。この点も、塩化物ナトリウム泉の持つ効果と共通しています。
アトピー性皮膚炎におすすめのモール温泉
アトピー性皮膚炎におすすめのモール温泉を紹介します。
モール温泉は、地域によって泉質が異なります。自分に合った温泉を選ぶために、それぞれの特徴を参考にしてくださいね。
(北海道)豊富温泉
北海道の最北端に位置する豊富温泉は、その独特の泉質から「奇跡の湯」とも呼ばれています。世界でも珍しい油分を含むモール泉で、アトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚疾患の改善に効果があるとされ、多くの人から注目を集めています。
豊富温泉の魅力
・世界でも珍しい油分を含むモール泉: 豊富温泉の最大の特徴は、世界でも珍しい石油や天然ガスとともに湧出するモール泉であることです。このため、わずかながら油分を含んでおり、これが肌表面に薄い膜を作り、水分蒸発を防ぐことで、高い保湿効果を発揮します。
・アトピー性皮膚炎に効果的: 豊富温泉の油分は、肌のバリア機能を強化し、乾燥を防ぐ効果が期待できます。そのため、アトピー性皮膚炎でお悩みの方から特に人気があります。
・美肌効果: 豊富温泉の湯は、肌のターンオーバーを促進し、肌をなめらかにする効果も期待できます。
・リラックス効果: 自然豊かな環境の中で、心身ともにリラックスできる癒やしの空間です。
(東京)武蔵小山温泉清水湯
清水湯には深さ200メートル、100~200万年前の地層から湧き出る黒湯と、さらにずっと深い地層から湧き出る黄金の湯を楽しむことができます。今回は、肌によいとされる黒湯について紹介します。
黒湯温泉の魅力
・天然黒湯温泉:東京の黒湯の中でも特にきめが細かく、澄んだ濃い琥珀色が特徴。
・高効能なモール泉:フミン酸やミネラル、イオンがたくさん含まれています。普通の温泉と比べて、泉質が変わりにくいとされています。
・美肌の湯:特に肌を柔らかくする効果があり、保湿や保温にも優れています。アトピー性皮膚炎の肌にもやさしく感じられるでしょう。
(鹿児島)
鶴丸温泉
鹿児島県湧水町にある温泉で、吉松温泉郷の一部です。全国的にも珍しい植物起源の有機質を含むコーヒー色のモール泉です。
鶴丸温泉の魅力
・日本屈指の高濃度なモール泉: 植物性で肌に優しく、皮膚病などにも効果があるとされています。
・源泉のまま注がれる露天風呂:透明感がありながら見た目は真っ黒です。
入浴時のポイント
モール泉は、その成分から様々な美容効果や健康効果が期待されています。入浴時のポイントを押さえて、安全かつ快適なバスタイムを過ごしましょう。
・入浴時間: モール泉は成分が濃いので、長時間入浴すると肌への刺激が強くなることがあります。一般的には10~15分程度の入浴を心がけましょう。
・水分補給: 入浴中は汗をたくさんかくため、こまめな水分補給が大切です。特に、ミネラルウォーターなどを飲むことで、脱水症状を防ぎ、温泉成分の吸収を助けます。
・身体の清拭: 入浴前に身体を清拭することで、汗や汚れを落とし、温泉成分がより良く体に浸透しやすくなります。
・湯温: モール泉の湯温は、人によって感じ方が異なります。最初はぬるめのお湯にゆっくりと浸かり、徐々に体を慣らしていくようにしましょう。
・身体の状態: 高血圧、心臓病、妊娠中の方などは、入浴前に医師に相談することをおすすめします。また、飲酒後や体調が悪い場合は、入浴を控えるようにしましょう。
・浴後のケア: 入浴後は、シャワーで温泉成分を洗い流しましょう。
モール泉の温泉療法の期間
モール泉の温泉療法の効果を実感するためには、どれくらいの期間続けるべきか、気になる方も多いでしょう。
結論から言うと、モール泉の温泉療法を続ける期間は、個人の体質や症状、そして期待する効果によって大きく異なります。一概にどれくらいと決めることはできません。
一般的には、以下の点が考えられます。
- 即効性: 肌の保湿や温浴効果などは、回数を重ねるごとに実感できる方もいます。
- 慢性的な症状: 関節痛や神経痛などの慢性的な症状に対しては、数週間から数ヶ月継続して入浴することで、改善が見られるケースも。
- 美容効果: 美肌効果や疲労回復効果などは、継続的な入浴によってより効果が期待できます。
湯治ができる温泉施設も
古くから湯治は、一定期間を温泉地で過ごし、療養に専念する習慣でした。湯治の期間は、一般的に1週間から3週間程度が目安とされてきました。これは、温泉の成分が体内に蓄積され、効果を発揮するためには、ある程度の期間が必要とされているからです。
豊富温泉は、1週間以上滞在する方向けの湯治として人気があり、温度が低い浴槽があることでも知られています。
アトピーが悪化する場合の対処法
もし、モール泉に入浴後にアトピーの症状が悪化した場合は、以下の対処法を試してみてください。
- 入浴を中止する: まずは、その温泉での入浴を中止することが大切です。
- 皮膚科を受診する: 皮膚科医に相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。
- 他の温泉を試す: モール泉以外の、自分に合う温泉を探してみるのも良いでしょう。
- アレルゲンを特定する: アレルギーの原因となる物質(卵、牛乳、小麦、花粉、ハウスダスト、埃、ダニなど)を特定し、できる限り避けるようにしましょう。
入浴する上での注意点
塩素が入っていない源泉掛け流しを選ぶ
モール泉の天然成分をそのまま味わうことができ、肌への刺激が少ないため、より効果的に温泉の効能を享受できます。塩素が入っていると、温泉成分が薄まり、肌への刺激が強くなる可能性があります。
温度は熱すぎない
熱すぎるお湯は、肌への負担が大きくなり、乾燥や痒みを引き起こす可能性があります。特にアトピー性皮膚炎の方などは、ぬるめのお湯でゆっくりと温まるようにしましょう。
長時間入浴は避ける
モール泉は成分が濃いため、長時間入浴すると、肌への刺激が強くなり、乾燥や痒みを引き起こす可能性があります。また、免疫力が低下している状態での長湯は、体調を崩す原因になることもあります。
傷口がある場合は注意
傷口から細菌感染し、炎症を起こす可能性があります。特に、モール泉には様々な微生物が含まれているため、傷口がある場合は入浴を避け、医師にご相談ください。ヘルペスウイルス感染でおこるカポジ水痘様発疹症は、免疫力が落ちるとかかりやすくなります。さらにヘルペスウイルスが体内に残り再発します。アトピ-性皮膚炎の重症者では十分に注意したほうがよいでしょう
アトピーに効く温泉の体験記
北海道の最北端稚内にある豊富温泉での体験談です。アトピー性皮膚炎が重症な時は、痒みがひどく眠れない夜が続いていました。しかし、豊富温泉のモール泉に浸かるようになってから、少しずつですが痒みが落ち着き、肌の乾燥も改善してきたように感じます。ただ、個人差はあると思うので、まずは少量のお湯から試してみることをおすすめします。
温泉に物理的に行けない方におすすめの入浴方法
温泉に行けない方も、自宅のお風呂で工夫次第で、温泉気分を味わうことができます。そのような方におすすめの入浴方法を紹介します。
肌に優しいシャワーヘッドにする
シャワーヘッドを交換することで、お肌への刺激を減らし、より優しい肌触りの水で浴びることができます。
定期的に風呂釜の掃除をする
風呂釜は、お湯を沸かすための装置です。長年使用していると、湯垢や皮脂汚れなどがこびりつき、それが原因で以下のような問題が発生する可能性があります。
- お湯が濁る: 浴槽のお湯が濁り、見た目が悪くなるだけでなく、肌に刺激を与える可能性もあります。
- 異臭: お湯に異臭がすることがあり、リラックスできる入浴を妨げます。
- 保温効果の低下: 汚れがこびりつくことで、保温効果が低下し、お湯が冷めやすくなります。
- カビや細菌の繁殖: 湿気がこもりやすい風呂釜内は、カビや細菌が繁殖しやすい環境です。
風呂釜の掃除は、一見面倒に感じるかもしれませんが、清潔な状態を保つことで、より快適な入浴体験が得られます。定期的な掃除を習慣にすることで、自宅のお風呂を清潔に保ち、温泉気分を満喫しましょう。
洗いすぎない
洗いすぎないメリットは、肌の潤いを保つことと肌トラブル予防です。
ポイント
・全身をお湯で洗い流し、気になる部分だけを優しく洗う。
・全身をやたらと石鹸で洗うのではなく、皮脂の分泌が多い部分(顔や頭皮など)を中心に洗う
・肌に優しい、界面活性剤不使用の石鹸を使用する。
K-2乳酸菌のサプリメント「アトクリア」について
アトピー性皮膚炎患者向けのサプリメントとして販売されている「アトクリア」は、アトピー性皮膚炎にエビデンスがある「K-2乳酸菌」と「ECME」という低分子ヒアルロン酸を配合した無添加のサプリメントです。
「K-2乳酸菌」は、1日あたり200mg(2000億個)ヨーグルト20個分が配合。
ヒアルロン酸「ECME」は、1日あたり600mg配合されています。
別名ECMEは食べるヒアルロン酸とも言われており、吸収力が高く、お肌の潤いを平均2週間で体感する即効性があります。
この2つの成分を同時に摂取できる「アトクリア」は、アトピー性皮膚炎で悩んでいる方にとって魅力的なサプリメントと言えるでしょう。
Amazonからご購入可能です。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0BPS69XY6
執筆者について
プロフィール
フリガナ: ワカヤマ ヒサト
名前: 若山 尚登
保有資格: 薬剤師、日病薬薬学認定薬剤師、YMAA認証マーク資格
職業: 薬剤師
経歴:薬学部卒業後、製薬会社にてMRを経験したのち、病院薬剤師へ転職。現在は病院薬剤師として働きつつ、医療ライターとして医療・薬に関わる記事の執筆に取り組んでいます。
自己紹介: 自身の経験を生かした幅広い視野で、医療の現場を伝えていくことがモットーです。薬剤師としてだけではなく、一医療人として人々の健康に役立ちたいと日々勉強に励んでいます。